固定された状況で繰り広げられるスリラー作品という事なのですが、例えば最初から最後まで1つの部屋の中だけで物語を描いていたり、主人公がその場から一歩も動かなかったり、鎖や手錠でその場に繋がれていたり、岩に手が挟まったり、砂漠のど真ん中で地雷を踏んでしまったり等々があります。
「ワンシチュエーションスリラー」とも呼ばれていますね。
作品の性質上、閉じ込められたり縛られたりというアイデアから成り立ってる作品が多いため「脱出映画」と言った方が伝わりやすいかもしれません。
そんな局所的なジャンルであるソリッドシチュエーション作品を15作品も集め、ランキング形式にてご紹介させて頂きます。
ソリッドシチュエーションスリラー映画 ハマる15選!
15位:サークル
出典:https://www.netflix.com/title/80070182
ふと目が覚めると、暗闇の中、50人の人々が謎の幾何学模様の上に集められていました。
そして円を描いて向き合う人々は、まるで無作為に集められたと言わんばかりに多種多様です。
男に女、子供や老人、人種や国籍すら違う人々は2分ごとに、そして不規則にバタバタと倒れて死んでいきます。
その謎の空間では投票によって集められた人々の生死が決められていたのです。
「誰を生かすか?そして誰を殺すか?」というのを話しに会いによって決める会話劇が魅力です。
そして会話は段々と、まるで社会の縮図であるような側面を帯び始めます。
印象に反して人種問題なども取り入れた社会性を持った作品です。
映画好きの方ならば馴染みのある、だからこそ定番で面白い手法を目撃するでしょう。
公開年:2015年
上映時間:1時間 27分
14位:ザ・ウォール
出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/A1kjm9DwW4L._SX450_.jpg
ソリッドシチュエーションとしてスナイパーとの膠着状態を描いた作品です。
テリトリーとなる安全地帯はボロボロのレンガの壁だけです。
そしてスナイパーが「どこから狙撃しているか」を探し出す事が生存の鍵となります。
主人公は膠着状態を逆手に取り、トランシーバーでスナイパーと会話をし、その会話を突破口にしようと試みます。
会話劇を中心としていますが、この作品の基盤となっているのは膠着状態を打破しようする心理戦と言えるでしょう。
ですが知能犯さながらのスナイパーの揺さぶりや読心術は凄まじく、絶望的な状況は続きます。
そして舞台装置となる瀕死状態の仲間の存在も、かなり重要となっています。
映画好きの方ならば馴染みのある、だからこそ定番で面白い手法を目撃するでしょう。
公開年:2017年
上映時間:1時間 30分
13位:10クローバーフィールドレーン
出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/81ZCv1utb+L._SX450_.jpg
彼氏との待ち合わせ場所に向かう主人公は交通事故に巻き込まれてしまいます。
そして目を覚ますと、そこは一画のシェルターでした。
すると家主が現れ「今ここに居られるだけで君は幸運だ、君はここに居るから生きていられるんだ」と言います。
家主曰く、世界は核攻撃を受け外界は非常に危険だ、との事。
しかしそんな事はとても信じられない主人公は脱出を試みます。
この作品を見ている最中、貴方は「この家主は狂人なのか?それとも世界は滅んでしまったのか?」そんな疑心暗鬼を常に抱える事になるでしょう。
クローバーフィールド、クローバーフィールド・パラドックスとも繋がりのある作品です。
映画好きの方ならば馴染みのある、だからこそ定番で面白い手法を目撃するでしょう。
公開年:2016年
上映時間:1時間 45分
12位:キューブ
出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/81GFrz9FuQL._SX450_.jpg
目が覚めると、そこは立方体の部屋、そして部屋の中には前後上下左右に6つのドア。
そんな迷路めいた謎の立方体をドアからドアへ進んでいくと、そこは火炎放射器や硫酸といったトラップすら内包した悪夢の迷路でした。
謎が謎を呼ぶソリッドシチュエーション、そして「この部屋は何なのか?」「誰がなんの目的で作ったのか?」「出口はあるのか?」そんな疑問符が常につきまとう不気味さを持った歴史に残る怪作です。
映像的に古いものですが、アイデアや特撮技術によってグロテスクさや真に迫ったリアリティを実現しているのも見どころです。
映画好きの方ならば馴染みのある、だからこそ定番で面白い手法を目撃するでしょう。
公開年:1997年
上映時間:1時間 30分
11位:キューブ2
出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51K%2BnMWTk8L._AC_SY445_.jpg
前作キューブのコンセプトはそのままに、今回はその「箱」の性質が大幅にアップデートされています。
一次元は点、二次元は面、三次元は立方体、では四次元は何でしょうか?
今作ではCG技術の導入により、前作の悪夢の立方体が一次元パワーアップし「部屋ごとに時間の流れる速度が違う」という設定が盛り込まれています。
SF要素としてレベルアップしていて、この世界は一体何なのか?という問いが、より現代的なSFのアプローチになっています。
その映像的パラレルワールド描写とタイムパラドックス描写は秀逸です!
映画好きの方ならば馴染みのある、だからこそ定番で面白い手法を目撃するでしょう。
公開年:2002年
上映時間:1時間 35分
10位:127時間
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パッケージや特異なタイトル、そしてアイデア等の強烈なインパクトのおかげで、存在は何となく知っているという方は多いのではないでしょうか?
この映画はある意味ソリッドシチュエーションの教科書のような「映像と構成」を持っています。
もちろん映画ですので「眼を飽きさせないように」作られています。
そしてそのお手本のような映像構成とアイデアは、映画好きの方に馴染みのある安定感を感じさせるはずです。
そして逆に「腕が岩に127時間ずっと挟まっているのに、飽きさせない映像なんて出来るのか?」と思った方にこそ見て頂きたい名作です。
映画好きの方ならば馴染みのある、だからこそ定番で面白い手法を目撃するでしょう。
公開年:2010年
上映時間:1時間 34分
9位:リミット
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棺の中に閉じ込められた主人公の手元にあったのは、携帯電話とライターのみ。
何がなんだかわからない状況の中、主人公は藁にもすがる思いでひたすら電話を掛けていきます。
始めから終わりまで携帯電話で会話をするだけの内容ですが、その悲壮感と切迫感、特に棺の中の息苦しさの臨場感は眼を見張るものがあります。
追体験型映画としての臨場感は随一と言ってもいいでしょう。
携帯電話の電池残量がここまで気になる映画は他にないはずです。
そして何より、声のみで生還を試みる会話劇と棺という閉鎖空間に説得力を持たせている音響が魅力です。
段々と明らかになっていく外の世界と、それを想像する手段が「音だけ」ということの妙を味わうことでしょう。
8位:エグザム
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有名企業の最終試験に8人のエリートがたどり着きました。
試験会場にあるものは、一本の鉛筆と一枚の紙、そして問題が書かれているであろうその紙をめくると、なんとその紙は白紙でした。
与えられたルールは3つだけ、警備員に話しかければ失格、テスト用紙を損なえば失格、退出したら失格という理不尽なものでした。
そんな状況の中、一人の男が他の候補者に話しかけます。
「重要なのは試験監督が言ったことではなくて、言わなかったことだ」
「つまり会話は自由だ」
そこから候補者同士の会話劇と心理戦が始まります。
そしてのこの試験の時間が80分なのですが、この80分という制限時間が映画本編の長さとシンクロしている点も魅力です。
公開年:2009年
上映時間:1時間 41分
7位:フォーン・ブース
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ニューヨークで芸能関係のPR営業を行っている主人公。
街を歩きながら営業活動を行っていると、公衆電話に一本の電話が掛かってきます。
なんとその電話の相手は、今まさに主人公に狙いを定めているスナイパーでした。
「電話を切ったら君を殺す」そんな理不尽な状況の中、主人公は絡んできた娼婦を追い払います。
するとその娼婦が用心棒を連れてくるのですが、スナイパーにより用心棒は射殺されてしまいます。
事態は一変、娼婦達は「あいつが手に持った銃で撃ち殺したんだ!」と感情的に騒ぎ立て、瞬く間に警官達が公衆電話に押しかけます。
スナイパーに脅迫されたまま、立てこもっている殺人犯として囲まれてしまった主人公を描きます。
映像表現も魅力的で、ワイプも積極的に使っています。
そしてセパレーションされた構図作りがなされているのも特徴的です。
他の登場人物は、それが電話の相手だとしても積極的に顔を描写しているのに対し、この脅迫犯だけは声や音のみしか聞こえないというのが不気味さを際立たせています。
公開年:2002年
上映時間:1時間 21分
6位:ALONE/アローン
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砂漠を行進している中、何かを踏んでしまったような感覚と地雷の「カチッ」という起動音が聞こえます。
その場から一歩も動けなくなり、まさにこのパッケージのシーンのまま完全に固定されてしまいます。
そんな砂漠の真ん中で動けなくなってしまった絶望的状況を描いています。
そして片膝をついたこの絵面には重要な意味があります。
それに気付けた時のカタルシスは抜群の納得感があります。
ソリッドシチュエーションスリラーでありながら、映像的なシンクロを楽しませてくれる珍しい作品です。
そして地雷に込められたメタファーとフラッシュバックを絡めた演出も何より魅力です。
公開年:2016年
上映時間:1時間 46分
5位:SAW/ソウ
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眼が覚めると、二人はバスルームに鎖で繋がれていました。
手元のカセットテープには「6時までに目の前の男を殺せ」と録音されています。
「Xが宝の在り処を示す」「ハートに従え」という謎のヒント、そして目の前には自殺したであろう死体とノコギリがありました。
脱出ゲームという概念の象徴のような歴史を変えた傑作です。
そしてソリッドシチュエーションを語る上で外せない作品ですが、シリーズものとしても有名です。
この第1作目はシリーズ随一の面白さを持っています。
その理由とは、脱出ゲームの進行をジワジワと描くねっとりとした伏線の数々にあります。
公開年:2004年
上映時間:1時間 43分
4位:イン・ザ・トールグラス -狂気の迷路-
出典:https://www.netflix.com/title/80237905
少年の助けを求める声につられて、草むらへと助けに入ってしまった男女二人。
しかし二人は簡単にはぐれてしまいます。
ですが声だけは聞こえます。
「手を上げて同時に飛び跳ねよう、そしたらお互いの位置がきっとわかる!」
わかったのは、お互いの位置ではなく「この草真は普通じゃない」という事だけでした。
確実に何かがおかしい草むらと、そこに存在するルールとは?
晴天の下、緑豊かなで爽やかさすら感じる背景が段々と不気味なものに変わっていく導入は必見です。
そしてループものとしてもかなり精巧に、そして不気味に作られています。
まるでナタリ監督の為に作らたような原作であり、とても監督の色が出ているのもポイントです。
公開年:2019年
上映時間:1時間 30分
3位:ギルティ
出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61MBRrY08ML._SX450_.jpg
普段通り通報対応をしているオペレーターの主人公。
淡々と電話対応をこなす彼の元に、パニックになった女性からこ通報が来ます。
それは今まさに誘拐されようとしている女性の悲痛な叫びでした。
主人公は音声のみを頼りに犯人を突き止めようとします。
終始オペレーター室でのみ描かれる全く新しいクライムサスペンスとして人気を博した名作です。
ちなみにジェイク・ギレンホール主演のハリウッドリメイクが決定しているとのことで、それにもとても期待できます。
公開年:2018年
上映時間:1時間 28分
2位:search/サーチ
出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/912CyrENf9L._SX450_.jpg
失踪した娘の痕跡を「インターネットのみ」を使って辿っていきます。
なので終始パソコンのデスクトップ画面上しか描かないという、かなり珍しい映画です。
主人公は藁にもすがる思いで、娘の使っていたSNSを片っ端から探っていきます。
段々とパズルのピースを揃えるように、娘の情報を特定していく様はまるで探偵さながらです。
そしてその流れは、まるでネットスラングで言うところの「特定班」のような趣きがあります。
そんな特定の布石を積み上げていく中で、モニター画面に散りばめられた伏線の数は映画界ナンバーワンと言えるでしょう。
ソリッドシチュエーションでありながら、まるで重厚なミステリーを読んだ後のような満足感が味わえる傑作中の傑作です。
公開年:2018年
上映時間:1時間 42分
1位:ジェラルドのゲーム
出典:https://www.netflix.com/title/80128722
手錠を使ったプレイはお好きですか?
では、もしその最中に相手が死んでしまったら?
そんなまさかの状況から始まる本作ですが、舞台が夫婦で訪れた別荘であるため助けが来る事はありません。
ベッドに手錠で繋がれたまま餓死を待つのみとなった妻、そしてその妻の隠された過去が魅力です。
主人公である1人の妻のトラウマや屈折した生き方、そして夫婦生活の不一致を巧みに描いています。
原作がホラー作品で有名なスティーブン・キングなのでホラー要素も多分に含んでいます。
皆既日食のカットは見た人全ての心に残るでしょう。
そしてこの作品が一位になっているのは、なんと言っても見終わった後の爽快感にあります。
ネタバレ厳禁の本作ですが、他のソリッドシチュエーションスリラーと比べると圧倒的に後味が良く、朝焼けのような清々しさがあります。
公開年:2017年
上映時間:1時間 43分
圧倒的な引き込みを持った作品たち
いかがでしたでしょうか。
ジャンルとして作品数が少ないソリッドシチュエーションスリラー作品ですが、新旧問わず紹介出来たかと思います。
ソリッドシチュエーションスリラー作品の限定された描写、密室劇、会話劇、そして引き込まれるアイデアは他の映画に真似できない良さがあります。
限定された空間と描写が想像の余地を作り出しているのが、これらの作品の特徴であり最大の魅力です。
ご覧になって頂ければ、貴方も必ず引き込まれるでしょう。